岸井ゆきのが表現する耳が聞こえないボクサーの世界、『ケイコ 目を澄ませて』は障害と社会のあり方のこれからを問う。
生まれつき耳が聞こえないケイコは下町のボクシングジムでトレーニングをしてプロボクサーとしてリングに立つ。普段はホテルで清掃員として働きながら弟と二人暮らし。ボクシングに生活のほぼすべてを捧げるケイコだったが、ある試合を機
障害者の働き方は共生社会への道標、『チョコレートな人々』が形作るよりよい未来とは。
愛知県豊橋市に本店を構える「久遠チョコレート」は全国に拠点を持つ人気のチョコレート店。その始まりは2003年に代表の夏目浩次さんが始めた小さなパン屋でした。障害者の賃金の低さに衝撃を受けた夏目さんは、障害者にも最低賃金を
移住者と地元民、その対立を人間の内なる獣性を通して描いた心理スリラー『ザ・ビースト』[東京国際映画祭2022]
スペインの山奥の村に暮らすフランス人のアントワーヌとオルガの夫婦、数年前に移住し、有機農業で野菜を作りマルシェで売って暮らしている。しかし、村に持ち上がった風力発電計画に反対したことから、隣人のシャンとローレンの兄弟と折
ルーツを探す旅の末に抱えた違和感が多様化する現代社会の問題を可視化する-『ソウルに帰る』[TOKYO FILMeX 2022]
ソウルのゲストハウスを訪れたフレディは、韓国人の両親のもとに生まれたが、赤ん坊の頃にフランスに養子に出され、初めて韓国を訪れた。生みの親を探す気などなかった彼女だが、友だちになったテナにハマンドという養子を斡旋する団体の
貧しい国で女性はさらに貧しく、現代の奴隷は今も世界中にいる-『コンビニエンスストア』[東京国際映画祭2022]
モスクワの住宅街にある24時間営業の「コンビニエンスストア」。コンビニエンスストアと言いながら、酒から野菜から肉からなんでもある小型のスーパーという趣だ。そこで働くムハバットは同じ店員のベクと結婚したが、直後からまたは語
スリランカの貧しさと満たされぬ愛を抱えた人々-『孔雀の嘆き』[東京国際映画祭2022]
母をなくした青年アミラは、4人の弟妹を養おうと田舎の村から首都コロンボに出る。上の妹のナディーは心臓の病気で入院していて、インドで手術を受けさせるための費用も稼がなければいけない。工事中のビルに仮住まいをしながら、アミラ
香港のネオンが照らす夫婦、親子、社会。-『消えゆく燈火』[東京国際映画祭2022]
元ネオン職人の夫ビウを亡くし、悲嘆に暮れるヒョンだったが、ある日ビウのズボンから10年前に閉じたはずの工房の鍵が出てくる。ヒョンが工房に行ってみると、工房はそのままで、作りかけのネオン管や最近の注文票まであった。娘のチョ
インドのトランスジェンダーは伝統から逃れ、新たな社会で生き始める-『私たちの場所』[東京国際映画祭2022]
トランスジェンダーのライラは深夜に知らない男の訪問を受け恐怖を感じる、一緒に暮らすローシュニと不動産屋に文句をつけるが、逆に部屋を追い出されてしまう。留守にしている友人の家に暮らしながら部屋を探すふたりだが、なかなか見つ
イタリアの伝説的トランスジェンダーたちのリアルな生き様を描いたファンタジー-『ファビュラスな人たち』[東京国際映画祭2022]
子供用プールの周りではしゃぐ女性たち、ポルポラ、ニコル、ソフィア、サンデー、ミツィアはトランスジェンダーの仲間たちだ。一番年長のポルポラがかつてみなで集まった空き家にみなを呼び出した。数年ぶりに集まった理由は、30年前に
イランの美しい景色と母の愛と歪む時間ー蝶の命は一日限り[東京国際映画祭2022]
ポツンと島が浮かぶ湖を見下ろす高台に1人暮らす老婆。彼女が暮らした村は湖へと沈み、老婆は「あの子」がそこにいるから私はここを離れないと話す。度々役所におもむき、何某かの要求をする老婆。役人は協力的だが、上の許可を待つしか