震災から11年、楽しく映画を見て3.11と自分との距離を見つめ直す-『永遠の1分。』
2022年3月11日で東日本大震災から11年になる。あちこちで「風化」という言葉が聞かれるように、被災地から遠い人たちの中では震災の記憶は徐々に薄れていっている。 テレビでは、震災関連番組をやるだろうが、その数は減ってい
違和感ある映像が考えさせるイスラエル社会の真実-『アヘドの膝』 #TOKYOFILMeX2021
新作映画のオーディション中のイスラエルの映画監督Yは監督作品の上映会のため砂漠の中にある小さな村を訪れる。その村出身でYのファンだという役人のヤハロムの出迎えを受ける。滞在場所となるアパートでヤハロムから上映会で話すテー
ゲイの老人が“人々”と出会い直し、豊かさを取り戻していく物語『スワンソング』 #TIFF2021
老人ホームで暮らす元ヘアドレッサーのパット、紙ナプキンをきれいに畳んで収集することと、介護士に隠れてタバコを吸うことしか楽しみがない彼のもとに、ある日、弁護士が訪ねてくる。 その弁護士は町一番の富豪でかつての顧客だったリ
平和になったコソボで女たちは男尊女卑の価値観と戦う-『ヴェラは海の夢を見る』 #TIFF2021
夫の誕生日パーティーの準備をする手話通訳者のヴェラのもとに、不動産業者から田舎の家が売れそうだという連絡が来る。ヴェラは夫にそのことを伝え、売れたら娘にアパートを買ったり家具を新しくしたいという夢を語るが、夫は曇った顔を
チェルノブイリと福島、原発と揺蕩う思考と私たちの無力感を描いた映像随筆『行くあてもなく』 #TOKYOFIMeX2021
チェルノブイリと福島を舞台にした原子力についてのドキュメンタリー。だが、事実を伝えるドキュメンタリーではなく、映像による観念的なモノローグというべきもので、ドキュメンタリーと呼ぶべきではないかもしれない。 まず描かれるの
孤独に自転車を漕ぐウーバー配達員は「人と人のつながり」を生み出せるのか-『東京自転車節』
映像作家の青柳拓さんが、コロナ禍の東京で、Uber Eatsの配達員をする自分を撮影したセルフドキュメンタリー。 山梨で運転代行のアルバイトをしながら映像制作をしていた青柳監督だったが、コロナ禍でバイトがなくなり、550
アフガニスタンからヨーロッパへの5000キロをスマホで記録した『ミッドナイト・トラベラー』が突きつける私たちの無関心の“罪”
アフガニスタンの映像作家ハッサン・ファジリは制作したドキュメンタリーが原因でタリバンから死刑宣告を受ける。妻と二人の娘と隣国タジキスタンに逃れ、庇護を申請したハッサンだったが、申請は却下されアフガニスタンに戻ることになる
9.11に先んじてアフガニスタンを描いた映画『カンダハール』が示す価値観の衝突の意味
カナダに亡命したアフガン人ジャーナリストのナファス。20世紀最後の日食の日に自殺するという手紙を妹から受け取った彼女は、カンダハールにいる彼女を救うため、戦火のやまぬアフガニスタンに入り妹のもとへ向かう。まずはイラン国境
日本の民主主義とメディアの危機の深刻さが、『パンケーキを毒味する』が誰に向けた映画かわからないことから見えてくる
総理大臣就任直後、報道陣とパンケーキを食べたという菅首相。この菅義偉とはどういう人物なのか、この総理大臣のもと、今の日本はどのような状況にあるのか、今日本が迎えている危機を皮肉っぽく描こうとした映画。 映画の序盤の菅義偉
東ティモールは過去を精算し未来へと向かえるか?悲劇の30年を体現する『アブドゥルとジョゼ』から見えてくるもの
2002年に独立した東ティモールは1975年からインドネシアに併合されていた。このあたりの歴史については、『平和への道』に詳しいのでまずはぜひ見てほしいが、あわせてみたいのがこの映画『アブドゥルとジョゼ』だ。 このアブド