生々しい現実から目を背けるな!美しい映像がウクライナの悲惨さを際立たせる『マリウポリの20日間』
2022年のロシアによるウクライナ侵攻で初期の激戦地となったマリウポリ、海外メディアが早々と対比する中、唯一残ったAP通信のウクライナ人記者ミスティスラフ・チェルノフは映像を記録し続けた。彼が記録した20日間の生々しい現
高齢者に生死の選択を迫る社会を描いた『PLAN75』が浮き彫りにする孤立と断絶の行く末
高齢化対策として、満75歳から自分の生死の選択権を与える制度「PLAN75」が施行された近未来、夫と死別し一人暮らしの角田ミチはホテルの清掃員として働きながら慎ましやかに暮らしていた。しかし、あるきっかけで仕事を失い、住
すべてを失い、守られてきた少女の生きるための旅。『すずめの戸締まり』の迫力と私たちにも投げかけられる「生きる意味」。
宮崎県におばと暮らす高校2年生の岩戸鈴芽はある日、廃墟の扉を探しているという青年・宗像草太に出会う。知らないと嘘をついてしまった鈴芽は気になって廃墟の遊園地へと向かう。そこには扉があり、開けると星がまたたく夜の世界が広が
銃乱射事件の被害者と加害者の親同士の対話を描いた『対峙』が見せる赦すことの難しさ。
人里離れたところにぽつんと建つ教会、そこである会合の準備がされていた。やってきたのは二組の夫婦。片方の妻がおずおずと花を差し出し、他方の妻がそれを受け取る。ぎこちなさと緊張感を漂わわせたまま4人はテーブルを囲み対話を始め
岸井ゆきのが表現する耳が聞こえないボクサーの世界、『ケイコ 目を澄ませて』は障害と社会のあり方のこれからを問う。
生まれつき耳が聞こえないケイコは下町のボクシングジムでトレーニングをしてプロボクサーとしてリングに立つ。普段はホテルで清掃員として働きながら弟と二人暮らし。ボクシングに生活のほぼすべてを捧げるケイコだったが、ある試合を機
ジャーナリストが追い求める唯一の真実とは。『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』に見るウクライナ問題の深淵
1933年ロンドン、ロイド・ジョージ元首相の外交顧問を務める記者のガレス・ジョーンズは、大恐慌下にもかかわらず経済成長を続けるソ連の財源に疑問をいだいていた。奇しくも教皇の影響で解雇されたジョーンズは、スターリンに直接尋
震災から11年、楽しく映画を見て3.11と自分との距離を見つめ直す-『永遠の1分。』
2022年3月11日で東日本大震災から11年になる。あちこちで「風化」という言葉が聞かれるように、被災地から遠い人たちの中では震災の記憶は徐々に薄れていっている。 テレビでは、震災関連番組をやるだろうが、その数は減ってい
アフガニスタンからヨーロッパへの5000キロをスマホで記録した『ミッドナイト・トラベラー』が突きつける私たちの無関心の“罪”
アフガニスタンの映像作家ハッサン・ファジリは制作したドキュメンタリーが原因でタリバンから死刑宣告を受ける。妻と二人の娘と隣国タジキスタンに逃れ、庇護を申請したハッサンだったが、申請は却下されアフガニスタンに戻ることになる
死を選ぶのはエゴか?複雑な問題を複雑なまま描く『ブラックバード』は安楽死をどう意味づけたか。
リリー(スーザン・サランドン)は病気で右手が麻痺し、体の他の部分も徐々に自由が効かなくなってきていた。週末、リリーと夫で医師のポールは二人の娘とその家族、リリーの親友リズを家に呼ぶ。リリーは尊厳死を望んでいて、死を前に大
必要なのは情報。新型コロナに襲われたクルーズ船の人々が教えてくれることー『ラスト・クルーズ』
新型コロナウイルス“COVID-19”が世界中で猛威を奮った2020年、その2月に横浜港を出発し、アジアを回ったクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号。船内で大規模なクラスターが発生し、世界的なニュースとなった。 その船に