スリランカの貧しさと満たされぬ愛を抱えた人々-『孔雀の嘆き』[東京国際映画祭2022]
母をなくした青年アミラは、4人の弟妹を養おうと田舎の村から首都コロンボに出る。上の妹のナディーは心臓の病気で入院していて、インドで手術を受けさせるための費用も稼がなければいけない。工事中のビルに仮住まいをしながら、アミラ
香港のネオンが照らす夫婦、親子、社会。-『消えゆく燈火』[東京国際映画祭2022]
元ネオン職人の夫ビウを亡くし、悲嘆に暮れるヒョンだったが、ある日ビウのズボンから10年前に閉じたはずの工房の鍵が出てくる。ヒョンが工房に行ってみると、工房はそのままで、作りかけのネオン管や最近の注文票まであった。娘のチョ
インドのトランスジェンダーは伝統から逃れ、新たな社会で生き始める-『私たちの場所』[東京国際映画祭2022]
トランスジェンダーのライラは深夜に知らない男の訪問を受け恐怖を感じる、一緒に暮らすローシュニと不動産屋に文句をつけるが、逆に部屋を追い出されてしまう。留守にしている友人の家に暮らしながら部屋を探すふたりだが、なかなか見つ
イタリアの伝説的トランスジェンダーたちのリアルな生き様を描いたファンタジー-『ファビュラスな人たち』[東京国際映画祭2022]
子供用プールの周りではしゃぐ女性たち、ポルポラ、ニコル、ソフィア、サンデー、ミツィアはトランスジェンダーの仲間たちだ。一番年長のポルポラがかつてみなで集まった空き家にみなを呼び出した。数年ぶりに集まった理由は、30年前に
イランの美しい景色と母の愛と歪む時間ー蝶の命は一日限り[東京国際映画祭2022]
ポツンと島が浮かぶ湖を見下ろす高台に1人暮らす老婆。彼女が暮らした村は湖へと沈み、老婆は「あの子」がそこにいるから私はここを離れないと話す。度々役所におもむき、何某かの要求をする老婆。役人は協力的だが、上の許可を待つしか
遺跡の発掘は見ているだけでワクワク『掘る女 縄文人の落とし物』
長野県のほぼ真ん中にある長和町(ながわまち)で発掘調査員として働く大竹幸恵さんは、30年にわたり泥にまみれながら、縄文時代の人々が黒曜石を掘ったあとを発掘している。岩手県洋野町では、高速道路工事に伴う発掘調査が行われ、調
『ダラス・バイヤーズクラブ』はぐいぐい観客を引き込み、カタルシスを味あわせ、差別について考えさせる
エイズが未知の病気だった80年代の実話を映画化。マシュー・マコノヒーはこの約を演じるために21キロも減量して熱演、アカデミー主演男優賞を受賞した。
囚人の演劇というありがちな題材を深く面白く描いて見るものに問いかける-『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』
売れない俳優のエチエンヌは、刑務所の演劇ワークショップの講師の仕事につく。刑務所内でやった公演に手応えを得たエチエンヌは、5人の受刑者と本格的に演劇に取り組無事に決め、「ゴドーを待ちながら」を刑務所外で公演するのを目指し
先進国の対立が生んだ戦争と悲劇、アフガニスタンから逃れたゲイの主人公は幸福か否か-『FLEE フリー』
コペンハーゲンのホテルの一室でインタビューを受けるアミンはアフガニスタン出身で、十代の頃、亡命を果たした。親友でもあるヨナス・ポヘール・ラスムセン監督の問いに答えながら、半生を語っていく。映画は、アミン本人や関係する人々
今も存在する人身売買と奴隷、『ゴースト・フリート 知られざるシーフード産業の闇』はとにかく気が滅入る、でも見なければならない。
タイの漁業会社の一部には、人身売買で手に入れた奴隷労働者を使っている業者がいる。彼らは何年もの間船から降りることもできず、給料も支払われず、暴力にさらされ、時には命を落とす。そんな被害者たちを救おうと立ち上がったのは、パ