原発事故を思い出すことの大事さ―『とんがり頭のごん太 2つの名前を生きた福島被災犬の物語』
東日本大震災から14年、福島第一原発事故の被災地の復興はまだまだ進んでいません。毎年この時期にはそのことを思い、なにか映画を見ます。今年は、『とんがり頭のごん太 2つの名前を生きた福島被災犬の物語』を見ました。 この映画
「エコテロリスト」の暮らしから自然とのダイレクトな関わりの大事さが見えてくる―『ダイレクト・アクション』【TIFF2024】
淡々とした暮らし 2016年から18年頃にかけて、フランスのノートル・ダム・デ・ランドでの空港建設反対運動が展開された。その中心となったのは「ZAD」と呼ばれるグループで、映画は当時の反対運動の映像を振り返ることから始ま
圧倒的なアクションと理解できない者への恐怖―『シビル・ウォー アメリカ最後の日』
連邦政府から一部の州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの「西部勢力」や、フロリダ周辺州を束ねた「フロリダ連合」と政府軍との内線が勃発していた。 ニューヨークで内戦を取材していたベテラン戦場写真家のリーと記者のジ
生々しい現実から目を背けるな!美しい映像がウクライナの悲惨さを際立たせる『マリウポリの20日間』
2022年のロシアによるウクライナ侵攻で初期の激戦地となったマリウポリ、海外メディアが早々と対比する中、唯一残ったAP通信のウクライナ人記者ミスティスラフ・チェルノフは映像を記録し続けた。彼が記録した20日間の生々しい現
故郷とは幸せな記憶と結びついた場所だ。故郷を奪われた被災者と喪失感を抱える人々と『ニッポニアニッポン フクシマ狂詩曲』
会津若松市に父と娘二人で暮らす楠木家の人々、市役所に勤める父の穀平が海沿いの楢穂町に出向することになる。福島第一原発事故の被災地の楢穂町の広報課で課長代理となった穀平はそれまで知らなかった被災地の現状を少しずつ知っていく
自立するイスラム女性たちを明るく描く『ラ・ルナ』が見せてくれる可能性[TIFF2023]
マレーシアの田舎の村で警察署長を務めるサリヒンは、ひとり親で奔放な娘アズラに手を焼いていた。ハッサン村長はイスラム教の戒律を重んじ、村独自の厳しいルールを定めていた。ある夜、村の空き家に人影を見つけたサリヒンが家を訪ねる
摂食障害を通して「生きる」を考える―『心のカルテ』
拒食症で入退院を繰り返す20歳のエレンは、継母の勧めでベッカム医師の診察を受ける。ベッカムは医師らしからぬ態度でエレンに生きたいなら食べ物の話をしないことや最低6週間の入院が必要だと告げる。エレンが入院先に行くと拒食や過
耳の聞こえない少女を巡るディスコミュニケーションと自己嫌悪と青春-『聲の形』
小学6年生のガキ大将の石田将也のクラスに耳の不自由な少女・西宮硝子が転校してくる。どんなときでも遠慮して下手に出る硝子はいじめられるようになり、ある時、将也の行き過ぎた行為によっていじめが露呈、将也は仲間にいじめられるよ
テンポの良いロードムービーはただ面白く、でも障害について考える要素も散りばめられたいい映画-『思いやりのすすめ』
介護士に転身し資格を得たベンが最初の仕事先として紹介されたのは、筋ジストロフィーの青年トレバーの介護だった。母親と二人でイギリスから越してきたばかりのトレバーは家からほとんどでない決まりきった生活を送りながら、ベンに悪質
ろうの家族を描いた『コーダ あいのうた』は、親子関係と世代間ギャップという普遍的なテーマを感動でまとめる
家族の中で一人だけ耳が聞こえる高校生のルビー。毎朝、父と兄と一緒に漁に出て手話通訳もする日々を送っている。高校で合唱クラブに入部したルビーは顧問の先生に可能性を見出され、バークレー音楽大学の受験を進められる。耳が聞こえな