『真珠のボタン』で西パタゴニアの先住民が投げかける「人間の愚かさ」の起源
パトリシオ・グスマン監督が『光のノスタルジア』から5年後に撮った続編的な作品。『光のノスタルジア』ではチリ北部のアタカマ砂漠が舞台でしたが、今度は最南端の西パタゴニアが舞台。そこにもチリの悲劇の跡があり、グスマン監督はそ
『光のノスタルジア』の圧倒的な映像美とチリの悲劇の歴史、そして時間と存在への哲学的疑問
パトリシオ・グスマン監督は1975年から78年にかけて『チリの戦い』という3部構成の政治ドキュメンタリーを手掛けた映画監督です。こちらの『光のノスタルジア』は歴史もモチーフにしながら、監督が興味を持つ宇宙をテーマに「過去
女たちのよもやま話にパレスチナのリアルを感じる『ガザの美容室』
パレスチナのガザにある小さな美容室。今日もたくさんの女性が詰めかけている。夫と離婚調停中の中年女性、結婚式を控えた若い娘とその家族、出産間近の妊婦とその妹、ヒジャブをかぶった信心深い女性などが髪を切られながら、自分の順番
#外出しなくても映画は観れる UPLINK Cloudの3ヶ月60本以上見放題は神プラン
新型コロナウイルス感染拡大防止のために広く外出自粛が訴えられ、緊急事態宣言が出された都府県では映画館が続々しまっています。 そんな中、UPLINK配給の映画が3ヶ月60本見放題という超お得プランを打ち出しました。その値段
絶望の中から立ち上がるのに必要なものを教えてくれる、ISに破壊された町に生まれた『ラジオ・コバニ』の物語
死が当たり前の風景 シリア北西部の町コバニでラジオ局を立ち上げたディロバン・キコは、手作りのスタジオからニュースや音楽、インタビューをまちに届けています。コバニはISによる攻撃を受け壊滅状態、ディロバンも大学に進学予定だ
嘘は罪か『作家、本当のJ.T.リロイ』が投げかける創作の嘘と不寛容な社会への疑問
20代の女性ローラ・アルバートは自分の中でターミメーターと言う少年を作り出し、心療内科に電話相談をしていた。医者のすすめで文章を書いてみるとそれが居者や作家に評価される。ローラはその後結婚し子供も生まれ安定していたが、あ
『万引き家族』はすべての人に「生きる意味」を問う映画。あなたにとって家族とは、生きるとは。
東京の高層マンションの間にあるボロボロの平屋で暮らす家族。父親・治と息子の祥太は二人組で万引をし、祖母の年金を頼みに暮らしていた。治は日雇いの仕事、妻の信代はパートをしていたが生活はかつかつ、信代の妹の亜紀はJKカフェで
『パーフェクト・レボリューション』-本当の障害は見えない、そのありかがわかれば革命は起きる
障害者と性の問題について訴え続ける脳性マヒの活動家・熊篠慶彦の体験をもとに、重度障害者と風俗嬢の恋愛を描いたラブストーリー。リリー・フランキーが熊篠さんを演じ、清野菜名が相手役を務めた。障害についての映画というよりは、ラ
60年代に音楽で社会と戦ったニーナ・シモンが教えてくれる「自由とはなにか」-『ニーナ・シモン 魂の歌』
1950年代から活躍した黒人女性ミュージシャン、ニーナ・シモンの生涯を描いたドキュメンタリー映画。 ニーナ・シモンは南部の貧しい家庭に生まれるが、ピアノの才能を見いだされ、黒人女性初のピアニストになるべくジュリアード音楽
あくまでフィクションだからこそ考える入口になる。『新聞記者』の賛否が分かれることの意味とは。
東京新聞の望月衣塑子記者を撮ったドキュメンタリー映画『i-新聞記者ドキュメント-』を見て、これは見なければと遅ればせながら『新聞記者』を観た。 この作品は、望月衣塑子さんのノンフィクションを原案に、シム・ウンギョンと松坂