摂食障害を通して「生きる」を考える―『心のカルテ』
拒食症で入退院を繰り返す20歳のエレンは、継母の勧めでベッカム医師の診察を受ける。ベッカムは医師らしからぬ態度でエレンに生きたいなら食べ物の話をしないことや最低6週間の入院が必要だと告げる。エレンが入院先に行くと拒食や過
耳の聞こえない少女を巡るディスコミュニケーションと自己嫌悪と青春-『聲の形』
小学6年生のガキ大将の石田将也のクラスに耳の不自由な少女・西宮硝子が転校してくる。どんなときでも遠慮して下手に出る硝子はいじめられるようになり、ある時、将也の行き過ぎた行為によっていじめが露呈、将也は仲間にいじめられるよ
テンポの良いロードムービーはただ面白く、でも障害について考える要素も散りばめられたいい映画-『思いやりのすすめ』
介護士に転身し資格を得たベンが最初の仕事先として紹介されたのは、筋ジストロフィーの青年トレバーの介護だった。母親と二人でイギリスから越してきたばかりのトレバーは家からほとんどでない決まりきった生活を送りながら、ベンに悪質
ろうの家族を描いた『コーダ あいのうた』は、親子関係と世代間ギャップという普遍的なテーマを感動でまとめる
家族の中で一人だけ耳が聞こえる高校生のルビー。毎朝、父と兄と一緒に漁に出て手話通訳もする日々を送っている。高校で合唱クラブに入部したルビーは顧問の先生に可能性を見出され、バークレー音楽大学の受験を進められる。耳が聞こえな
高齢者に生死の選択を迫る社会を描いた『PLAN75』が浮き彫りにする孤立と断絶の行く末
高齢化対策として、満75歳から自分の生死の選択権を与える制度「PLAN75」が施行された近未来、夫と死別し一人暮らしの角田ミチはホテルの清掃員として働きながら慎ましやかに暮らしていた。しかし、あるきっかけで仕事を失い、住
すべてを失い、守られてきた少女の生きるための旅。『すずめの戸締まり』の迫力と私たちにも投げかけられる「生きる意味」。
宮崎県におばと暮らす高校2年生の岩戸鈴芽はある日、廃墟の扉を探しているという青年・宗像草太に出会う。知らないと嘘をついてしまった鈴芽は気になって廃墟の遊園地へと向かう。そこには扉があり、開けると星がまたたく夜の世界が広が
感動するしかない、生きることに正面からぶつかり成長する被災した少女の物語-『風の電話』 #3.11-2023
9歳のとき、岩手県大槌町で東日本大震災で被災したハルは、両親と弟を津波で流され、広島県呉市に暮らすおばの広子に引き取られた。それから8年、高校3年生になったハルは広子と愛情で結ばれてはいるものの、どこか生気のない目で日々
上質なサスペンスに乗せて、特権階級の無意識な差別と社会の断絶の本質を暴く-『パラサイト 半地下の家族』
町外れの半地下の家に暮らす4人家族のキム一家。両親は失業中、息子のギウと妹のギジョンは受験に失敗しフリーター生活を送っている。そんなギウに富豪のパク家の娘ダヘの家庭教師の仕事が舞い込む。その待遇の良さを知ったギウは、他人
銃乱射事件の被害者と加害者の親同士の対話を描いた『対峙』が見せる赦すことの難しさ。
人里離れたところにぽつんと建つ教会、そこである会合の準備がされていた。やってきたのは二組の夫婦。片方の妻がおずおずと花を差し出し、他方の妻がそれを受け取る。ぎこちなさと緊張感を漂わわせたまま4人はテーブルを囲み対話を始め
銃乱射事件を起こした少年と「恐怖」-『エレファント』
酒に酔った父親に代わって車を運転し学校に向かったジョン、校長に遅刻をとがめられるが、父親が心配で兄に父親を迎えに来てくれるよう電話をする。イーライは学校の前でパンク・ファッションのカップルの写真を撮り、学校の暗室に向かう