謎めいた写真家が”物語”を切り取ったのは何のためか。折り重なる物語をどう切り取るか。ー『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』
何かアート系のドキュメンタリーがみたいなと思って、写真も好きだし、謎めいた写真家というのも面白そうだしというので何の気なしに見はじめたのだけれど、観てみたら今まさに問題意識として持っている“物語”についての映画で色々考え
食べるという行為は人と世界の関わりを象徴的に示すー『聖者たちの食卓』
ただただ淡々と何かをする人たち この映画は、インドの寺院で沢山の人が一緒に食事をとる風景をナレーションも解説もなく映したものだ。 ただ、映画は田園風景で始まり、何の説明もないのでここがどこなのかもわからないし、予備知識が
バンクシーは社会に理想の世界の夢を見させる。『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』
ソーシャルという言葉はいろいろな意味で使われています。基本的には「社会」を意味するわけですが、本来的に「社交」という意味も持つし、「社会的な」という言葉自体も広がりを見せていて、パブリック、つまり公衆のという意味に近づい
「印象操作」は社会を変えるか、ガエル・ガルシア・ベルナルが80年代の広告マンを演じる『NO』
私はここで「ソーシャルシネマ」などと銘打って「ソーシャル」について偉そうに語っているわけですが、「社会を変えたい」とか思っているわけでは決してありません。 ただ、自分が関心がある社会課題についてより多くの人に関心を持って
エドワード・スノーデンと「共謀罪」、プライバシーと民主主義ー『シチズンフォー スノーデンの暴露』
テロ等準備罪に加計学園、忘れられつつある森友学園といろいろ、なんとも嫌になる政治ニュースばかりで、半ばあきらめ気分の今日このごろですが、そんなことではいけないと思って、「共謀罪」について考える材料になるかと、前から気にな
沖縄の歴史は陵辱の歴史。アメリカ人監督が見たのは沖縄の“傷”ー『沖縄 うりずんの雨』
5月15日は沖縄の本土復帰の日、今年で45周年を迎えた。しかし今も沖縄では米軍基地が問題になり続け、問題は複雑化して、解決の糸口がつかめない。基地問題を扱った映画もいくつもあるけれど、その多くはどちらか一方の立場を主張す
振り回されるのはいつも庶民。問題は賛成か反対かではなく選択肢ー『長良川ド根性』から沖縄へ
GWもスカパーでやっていた東海テレビのドキュメンタリー特集。年に2回くらいやっているようなので、気になる方は次の機会をお待ち下さい。 今日はその中から、作品としては軽め(テーマは軽くないですが)の『長良川ド根性』です。
選択を許されなかった、すべての虐げられた人々に捧げられた映画『ムーンライト』
アカデミー賞で作品賞を受賞した『ムーンライト』。 アカデミー賞も、昨年の受賞者が白人ばかりだったりして、今年も『ラ・ラ・ランド』が最有力と言われる中、ほぼ100%黒人しか出演していないこの映画が獲ったということは、映画の
信仰や宗教の話ではなく、寺社という存在の意味を考えるー『樹木希林 わたしの神様』
「信仰」や「宗教」というと日本人の多くは身構える。それはなぜなのだろうか?私も特に信仰心が篤い方でもなく、宗教に関わるのは、冠婚葬祭と初詣とどこかに旅行に行ったときに訪れる神社仏閣くらいのものだ。 今日の作品『樹木希林
LGBTにダウン症、差別との闘いを無にしないために、『チョコレート・ドーナツ』を世界ダウン症の日に観る。
今日は「世界ダウン症の日」ということなので、ダウン症に関係する映画は何か無いかと探して思い出した『チョコレート・ドーナツ』を紹介します。 舞台は1979年のアメリカ、自分がゲイであることを押し殺して来たと思われるポールが