原発投下直後の広島で軍医として被爆者の治療に当たり、戦後は埼玉に被爆者のための病院を作って治療活動を行ってきた肥田舜太郎医師。その肥田医師が半生を捧げて取り組んできた「内部被曝の恐ろしさの訴え」を描いたドキュメンタリー映画『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』が2006年に制作された。

肥田医師は2009年に医療活動からは引退、その後は被曝についての知識を広めるための講演活動を精力的に行なっていた。福島第一原発の事故後はさらに公演の依頼が増えていく。

福島第一原発事故の後『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』を補完する形で作られたのがこの講演を記録した『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』。肥田医師は講演で 「80%が広島の内部被曝の話であと20%で今の話をする」 そうで、2本のドキュメンタリーを見ることで肥田医師の講演のエッセンスを受け取ることができるはずだ。

ここで肥田医師は「いまどうすればいいのか」を端的に語っている。その秘訣は簡単にいえば「規則正しい生活」。原始の時代に人類が自然放射線に対する抵抗力を着けることができたのは、日の出と共に起き日暮れと共に寝る彼らの生活によるものだという持論を展開し、早寝早起きして3食しっかり同じ時間に食べ、毎日スッキリと排便することで体内の放射性物質と戦うことを説く。

これは放射性物質と戦う方法は、病気になりにくい体を作ることしかないという主張で、これが有効なことは自身も被曝しながら100歳まで元気に活動を続けた肥田医師の姿が何よりの証拠となるでしょう。

この作品の時点で肥田医師は95歳、その歳でも90分の講演をたったまま行い、若い人たちに希望を与える。放射能については様々な情報が工作し何を信じればいいのか不安になることも多いけれど、この肥田医師の言葉は信じられると思ってしまう説得力がある。

印象的だったのは「長生きする責任はあなた方自身にある」という言葉。過去に核実験が行われたりしたことは私たちにはどうすることもできない。でも、現在・未来を変えて長生きできるようにすることは私たちにはできる。規則正しい生活もそうだし、核兵器や原発をなくそうとすることも。

『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』
2012年/日本/27分
製作:アップリンク

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原発投下直後の広島で軍医として被爆者の治療に当たり、戦後は埼玉に被爆者のための病院を作って治療活動を行ってきた肥田舜太郎医師。その肥田医師が半生を捧げて取り組んできた「内部被曝の恐ろしさの訴え」を描いたドキュメンタリー映画『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』が2006年に制作された。 肥田医師は2009年に医療活動からは引退、その後は被曝についての知識を広めるための講演活動を精力的に行なっていた。福島第一原発の事故後はさらに公演の依頼が増えていく。 福島第一原発事故の後『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』を補完する形で作られたのがこの講演を記録した『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』。肥田医師は講演で 「80%が広島の内部被曝の話であと20%で今の話をする」 そうで、2本のドキュメンタリーを見ることで肥田医師の講演のエッセンスを受け取ることができるはずだ。 ここで肥田医師は「いまどうすればいいのか」を端的に語っている。その秘訣は簡単にいえば「規則正しい生活」。原始の時代に人類が自然放射線に対する抵抗力を着けることができたのは、日の出と共に起き日暮れと共に寝る彼らの生活によるものだという持論を展開し、早寝早起きして3食しっかり同じ時間に食べ、毎日スッキリと排便することで体内の放射性物質と戦うことを説く。 これは放射性物質と戦う方法は、病気になりにくい体を作ることしかないという主張で、これが有効なことは自身も被曝しながら100歳まで元気に活動を続けた肥田医師の姿が何よりの証拠となるでしょう。 この作品の時点で肥田医師は95歳、その歳でも90分の講演をたったまま行い、若い人たちに希望を与える。放射能については様々な情報が工作し何を信じればいいのか不安になることも多いけれど、この肥田医師の言葉は信じられると思ってしまう説得力がある。 印象的だったのは「長生きする責任はあなた方自身にある」という言葉。過去に核実験が行われたりしたことは私たちにはどうすることもできない。でも、現在・未来を変えて長生きできるようにすることは私たちにはできる。規則正しい生活もそうだし、核兵器や原発をなくそうとすることも。 『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』2012年/日本/27分製作:アップリンク
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